専門性の高い科学技術を記事にするとき、私が常に意識していることがあります。それは「正確性」「わかりやすさ」「誠実さ」の3つです。
サイエンスライターとして活動を始めてから、さまざまな分野の研究者や技術者に取材をしてきました。取材を重ねるなかで見えてきた、大切にすべきことを整理してみます。
1. 正確性 ── 科学に誠実であること
科学技術の記事において、最も大切なのは正確性です。読者にわかりやすく伝えることも重要ですが、「わかりやすさ」のために「正確さ」を犠牲にしてはいけません。
化学系大学院で学んだ経験は、ここで大きく活きています。論文を読み解く力、実験データの意味を理解する力、専門用語の適切な使い分け——これらは科学的なバックグラウンドがあってこそ身につくものだと感じています。
2. わかりやすさ ── 橋渡しの技術
正確であることと、わかりやすいことは矛盾しません。むしろ、本当に理解している人こそ、シンプルに説明できると私は考えています。
私は記事を書くとき、「その分野の専門家ではない読者」を常に念頭に置いています。たとえ話を使い、日常の経験と結びつけることで、抽象的な概念を具体的なイメージに変換することを心がけています。
比喩の扱い方
比喩は強力なツールですが、使い方を誤ると誤解を招きます。科学的な事実を損なわない範囲で、最も適切な比喩を選ぶことに時間をかけます。
3. 誠実さ ── 書き手としての姿勢
取材対象への敬意、読者への誠実さ、そして科学そのものへの真摯な姿勢。これが信頼される記事の土台だと考えています。